データで見るプレースタイルの「光」――奪って、外して、運ぶ
バレバの評価では、2025/26だけを見ると本質を見誤りやすい。
彼の最高到達点を示すには、ブレイクした2024/25のOptaデータと、低調だった2025/26の最新データを分けて考える必要がある。
最新シーズンの基礎データ
以下はFotMobの2025/26プレミアリーグデータ。90分換算は1,662分から計算している。FBrefの検索データでは出場31試合・1,652分となっており、データプロバイダー間で約10分の差があるため、表内では一貫してFotMobを使用した。

出典:FotMob。
数字上まず目につくのは、179cmにもかかわらず空中戦勝率58%を残している点だ。FotMobのMF比較でも空中戦勝利は82パーセンタイルに位置する。父親が幼少期から取り入れたジャンプ・アクロバットトレーニングとの因果関係を断定はできないが、少なくとも身体サイズ以上に競れるMFであることはデータにも現れている。
「光」その1――守備的MFでは異質なキャリー能力
バレバ最大の武器である。
2024/25のOpta Analystによれば、

一般的な6番の前進手段は「パス」だが、バレバの場合は自分の身体そのものが前進手段になる。
CBから受ける。
相手の1列目が寄せる。
ボールを半身で守る。
一度相手側へ身体を見せてから逆へターン。
そして5〜20m前へ運び、相手のプレスラインを一人で消す。
このアクションがバレバの価値の中心だ。Optaも、プレッシャー下で一方向へ身体を振ってから逆方向へ加速する場面と、そこからの前進を特徴として挙げている。
これがキャリックのユナイテッドで重要になる理由は後述するが、3-2ビルドアップで相手が2トップ+10番などを使って中央をマンツーマン気味に塞いだとき、パスコースがなくても自力でプレスを壊せるからである。
「光」その2――“ボールハンター”としての射程
バレバの守備はカゼミロ型の「位置を読み、最後の瞬間に刈る」だけではない。
むしろ、
相手への到達速度そのものが守備力
というタイプである。
2024/25はシーズン合計で79タックル、46インターセプト、197リカバリーを記録。Optaベースの集計ではインターセプトとリカバリーはいずれもプレミア上位層だった。
ヒュルツェラーも2025年2月、「ポゼッション時だけでなく非常にアスレティックで、非保持でもダイナミック。ギャップを閉じるうえで重要」と評価していた。
これが映像で現れるのは、主に三つの局面だ。
相手の10番へ縦パスが入った瞬間に背後から潰す局面。SBが高い位置へ出た後、その外側へスライドして広いスペースを消す局面。そしてトランジションで相手が前を向いた際、10〜15mの距離を一気に詰めて攻撃を遅らせる局面である。
特に最後の能力はユナイテッドに重要だ。キャリックが5レーンに選手を送り込む3-2-5を作るほど、ロスト直後には後方の「2枚」が大きな横幅を管理する必要が出る。
「光」その3――実はロングパスの質も高い
バレバを「ドリブル型だからパスは苦手」と見るのも正確ではない。
2024/25のOptaデータでは、彼のロングボール成功率は61.6%で守備的MF6位。さらにプログレッシブパス1本当たりの平均前進距離は18.6mで4位だった。6人以上の相手選手を一度にバイパスしたパスも59本で守備的MF8位だった。
加えて、相手が2m以内にいる「プレッシャー下」でのパス成功率は81.8%。守備的MFで10位だった。
つまり問題は「縦パスを蹴れない」ことではない。
蹴れるが、その回数・選択頻度がトップクラスの司令塔ほど高くない。
この違いが重要である。
「光」その4――左利きという戦術資産
バレバは左利きで、左CBから左ハーフスペースを通じて前進する際に自然な身体の向きを作れる。
仮に右SBが高く、左SBが絞って3バック化するキャリック型3-2-5なら、バレバを左の6番に置くことで、
左CB → バレバ → 左WG/左IH
のラインを左足の一連の動作で作れる。
また相手が中央を締めれば、左CBから受けて外側へ開き、そのままドリブルで前進できる。
ユナイテッドの中盤において「左利き」はそれ単独で獲得理由になるものではないが、サントス、ティーレマンス、メイヌーらとの組み合わせを考えれば、攻撃方向を左右非対称に設計できる点はプラスになる。



コメント