当サイトはマンチェスター・ユナイテッドの個人ファンブログであり、クラブ公式とは一切関係ありません

2026/27 プレミアリーグ GW1 ハル・シティ戦~持ち帰ったのはボールだけ、そして誰も崩せなかった~

MATCH(試合情報)

戦術レポート

ビルドアップ

この試合の問題を「後ろからボールを出せなかった」と整理するのは正確ではない。Unitedは71.5%の保持、654本のパス試行、574本成功を記録している。Maguireだけでも72本を成功させており、第一ビルドアップを突破して相手陣へボールを運ぶこと自体には大きな量的問題はなかった。

Hullは5-4-1で中央を圧縮する時間を増やし、とりわけ先制後は「Unitedに持たせながら、危険な中央へのアクセスを切る」展開に持ち込んだ。53回のクリア、7ブロックという数字からも、深い位置で最終的に跳ね返すゲームを受け入れていたことが分かる。

Unitedの第一前進役はCB、とりわけMaguireだった。彼が前へ持ち出し、Shawが左の高い位置を取ることで外側には前進できた。しかし中盤からライン間へ刺す形が十分に増えず、結果として「CB→SB/外側→クロス」というルートが膨張した。34本のオープンプレークロスは、その構造を最も端的に表す。

中盤の構造

基本はTielemans+Andrey Santosのダブルピボット、前にBruno。理論的には、Tielemansの配球とSantosの守備・前進能力を組み合わせ、その前のBrunoを高い位置で解放する狙いだったと考えられる。ただし、「それがCarrickの明示した役割分担だった」とする直接コメントは確認できないため、ここは配置からの分析である。

問題は、Hullの中盤がボールを持たない状態でも試合に影響できたことだった。32分時点で実況グラフィックは31回のデュエル中Hullが20勝としており、最終的にもHull 50勝、United 35勝。Unitedのダブルピボットがパス交換でボールを保持しても、セカンドボールや接触局面ではHullに試合のテンポを奪われた。

Tielemansは2失点目直前に危険な位置でFKを与え、Santosとともに67分で交代。新しいダブルピボットを一試合で失敗認定するべきではないが、少なくともGW1では「ボールを持てる中盤」と「試合の中央を支配できる中盤」は同義ではなかった。 

また、中央の運び手としてMaguireが目立ったこと自体が示唆的だ。CBが積極的に運ぶのは悪いことではないが、中盤からラインを破るキャリーや縦パスが頻繁に出ていれば、CBがここまで攻撃のアクセル役になる必要は少ない。プログレッシブパス/キャリーの個別数値を取得できていないため断定はできないものの、映像ログとキーパス分布は創造性がBrunoだけでなくShaw、Maguireという後方・外側に分散していたことを示す。

ファイナルサード攻略

ここが最大の問題だった。

Unitedは41回の相手PA内タッチ、21シュート、約1.8 xG、19 chances created。表面的には「何も作れなかった」試合ではない。

一方で、5枠内シュートのxGOTはわずか0.60。さらにOptaによればオープンプレークロスが34本、全クロスでは39本。つまり、敵陣深くまでは到達したが、Hullが守りやすい外→中の反復へ攻撃を誘導された

チャンス供給数もShaw 4、Bruno 3、Maguire 2。通常なら10番やウイングがハーフスペースで最終ラインを割る場面を増やしたいところ、実際には左SBとCBが主要クリエイターになった。これは「ShawとMaguireが良かった」という個人評価だけでなく、「中央の攻撃構造が十分に機能しなかった」という裏返しでもある。

Dorguは左WGながら3本のシュートを打ち、約0.47 xGを得ているため、ボックス侵入自体はできていた。しかし幅を取って1対1で守備網を横に広げるというより、フィニッシャーとして中へ入る性格が強く、左の幅と供給はShawに依存した。

Cunhaも最前線から降りすぎる局面があり、Guardian実況は後半開始直後に「strikerとして深すぎた」と指摘している。Cunhaが中盤方向へ降りるなら、その背後を誰かが常時取る必要があるが、前半はそこが十分同期しなかった。

その象徴が54分。Mbeumoが内側へ出し、Brunoがスルーしたものの、その先にシュートする選手がいなかった。ボールを動かす技術ではなく、最終的なボックス占有の同期不足が露呈した場面だった。

セットプレーでもUnitedは6本のコーナーを得ながら得点できず、set-play xGは0.31。一方Hullはコーナー1本を含む少ない機会から0.94のset-play xGを作って2点。量ではなく、デザイン・競争・セカンドボールの差だった。

プレス・守備

Brunoの「最初の20分は相手GKに時間を与えすぎた」というコメントが、Unitedのプレッシングを最も正確に説明する。前線から出ていく意思はあっても、第一ラインの距離・タイミングが十分でなく、Tzolakisを落ち着かせた。

HullはそこからMcBurnieを出口に使った。SkyはMcBurnieについて、前線でボールを収め、ファウルを獲得し、チームを押し上げる役割を高く評価している。Unitedから見れば、プレスを外された後にロングボール/セカンドボールでリセットできず、相手にセットプレーを与えるという悪循環になった。

ここで重要なのは、Hullのopen-play xGがわずか0.07だった点である。したがって「Unitedのオープンプレー守備が90分ずっと崩壊していた」とまでは言えない。むしろ、通常攻撃の高品質チャンスはかなり制限したのに、set-play xG 0.94という一つの局面で試合を落とした

ただし、デュエルはUnited 35-50 Hull、空中戦16-22。セットプレー失点を偶発的な2プレーだけで切り離すこともできない。Hullの高さ・フィジカルを含むゲームプランに対して、Unitedが試合全体で接触局面を支配できなかった延長線上に2失点がある。

トランジション

攻撃トランジションでは、むしろスペースがあるときの方がUnitedは危険だった。78分、Mbeumoがカウンターから抜けて放ったシュートが後半最大のチャンスだった。Hullが整った5-4-1を崩すポジショナルアタックより、相手が前へ出た直後のMbeumoのスピードの方が明確な武器になった。

守備トランジションでは後半、特に左側背後に危険が生じた。55分にはShawがカウンターを消し、59分にもMcBurnieの持ち上がりに対応。80分には攻撃参加していたMaguireが左インサイド付近から全力で戻り、Hullのカウンターを止めている。

これは0-2でリスクを負った結果でもあり、必ずしも基本設計の欠陥だけではない。しかし、前線に人数を増やすほど後方のrest defenceが薄くなるという当然のトレードオフがはっきり出た。

選手別の戦術的役割

Maguireは右CBでありながら第一前進役。相手が引けば運び、後半にはボックス内の空中戦ターゲットにまで変化した。72/78のパス成功と1ビッグチャンス創出は、彼の役割が単なる守備者ではなかったことを示す。

Shawは左側の幅と創造性を担当。Dorguが中へ入るほど外側を一人で担い、4キーパスを記録。Rashford投入後は昔からの左サイド連係も使い、オーバーラップの頻度を上げた。

Tielemans/Santosは第一フェーズとBrunoの間を接続するダブルピボット。しかしHullの中央4枚と物理戦の中で優位を確立できず、67分にセットで下げられた。

Brunoは初期配置の10番。3キーパスを作ったが、相手ブロック内側で継続的に前向きになれず、後半はより低い位置からゲームを作る必要が増えた。

Mbeumoは最も可変的だった。右WGで開始し、HT後にCFへ。終盤にはGuardianが「この日3つ目の役割」と表現する中央の10番位置へ移った。4シュート、0.50 xGという数字も含め、前線で最もフィニッシュへ近かった選手だった。

Cunhaは前半CFだが、しばしば中盤方向へ降下。HTから右へ動き、80分までプレーした。Cunhaを「9番として固定する」のではなく、MbeumoやRashfordと位置を交換させるCarrickの前線可変性は見えたが、GW1では可変性がそのまま流動的なチャンス創出には結びつかなかった。

Carrickの試合中修正

最初の大きな変更はHT。Dorguを下げてRashfordを左へ置き、Mbeumoを右→中央、Cunhaを中央→右へ動かした。これは単純にDorguの出来を問題視しただけでなく、「中央により背後へ走れるMbeumoを置く」「左には幅と運びを作れるRashfordを置く」という機能変更だった。

Rashford投入後、左ではShawとの縦関係が生まれ、49分にはすぐにドリブルからFKを獲得。55分にはRashford→Shawのオーバーラップでコーナーを取った。前半より左の役割分担は分かりやすくなった。

67分にはTielemansとSantosを同時に下げ、MainooとŠeškoを投入。人員構成とその後の配置から見ると、Šeškoを9番、Mbeumoを中央の2列目、BrunoをMainooの近くへ下げる形へ再編した可能性が高い。89分にはGuardianがMbeumoを“in the hole”と記録している。ただし、これは公式フォーメーション表示ではなく、選手配置と実況からの推定である。

80分にはLaceyをCunhaに代えて右へ、DalotをMazraouiに代えた。Laceyが右幅を担当することでMbeumoは中央に残りやすくなり、Rashford—Šeško—Laceyという幅と9番を明示した前線になった。

しかし終盤も81分、87分、90+3分とクロス中心。最後はRashfordのクロスにŠeškoがヘディングで合わせるがEganにブロックされた。つまりCarrickは人を変え、役割を整理したものの、Hullを崩す方法そのものは最後まで「外からボックスへ供給する」比重が高かった

Hullから見たUnitedの弱点

Hullのゲームプランはかなり明確だった。

第一に、5-4-1で中央を閉じ、Unitedを外へ誘導する。BrunoによるとHullはプレシーズンでは4バックが多かったため、United戦向けの明確な変更だった。

第二に、高さとデュエル。Hullは全デュエル58.8%、空中戦57.9%を制した。Unitedに39本クロスを上げさせても、中央に人数と高さを置けば処理できるという賭けが成立した。

第三に、McBurnieへの直接球とセカンドボール。保持率28.5%でも、9番が収めてFKを取り、ラインを上げることでUnitedのプレッシングを無力化した。

第四に、セットプレー。Jakirovićは事前分析でUnitedの弱点を見つけたと認め、結果はコーナーとFKから2得点。HullのxGの約9割がセットプレー由来という数字は、狙いと結果がほぼ完全に一致したことを示す。

第五に、Unitedが前がかりになった後は左サイド背後を含むカウンター。後半、ShawやMaguireが何度も戻って止める場面があり、2点差になった後のUnitedのリスク管理を突いた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました